クリスティーナは基本短パンにタンクトップにビーサンで「犬」の散歩に行っていた。
ある時一緒に「犬」の散歩に行こうと誘われた。
いつもの彼女の格好を見て、私も適当な格好で家を出た。
私はそこまで体力のない人間ではないが、彼女は殊更体力のあるタイプだった。
歩いているうちに上り坂になり、茂みになり、砂利道になり、ヘロヘロになる頃には丘の上だった。
散歩と思っていたのに気づいたらこんなところ
私:登山じゃん!!
クリス:??散歩だよ??
確かに彼女の格好はそこら辺に行く散歩の格好だ。
でももうどこにも家見えないし、アスファルトの道ないし、周りじゅう丘が連なってるじゃないの。
そして散歩片道に2時間はありえない。
ちなみに帰りは彼女の冒険魂に火がついたため、道すらない藪の中をかき分けて進む彼女を「犬」と一緒に懸命に追いかけて帰った。
よく迷子にならないな・・・と思った。
さらに気づいた頃にはこんなところに
別の思い出。
このど田舎では停電と断水がちょくちょく発生するのであるがそんな時どうしてるのかというと・・・。
まぁ電気がないのは大して問題ない。
もともとが蝋燭とデッキブラシの生活なのだから。
そして断水の時に困るのがトイレなのだが、そういう時は「go to 外」だ。
私とクリスは断水の時の外トイレの場所をお互い決めていた。
私は裏口から出たところの草っ原。
彼女はそこからぐるっと回った台所の裏だ。
両方とも膝丈くらいの草がぼうぼうに伸び切っているから、しゃがめば誰からも見えない。
もともと見る人影もない。
そんなのどかな場所では野糞だって結構普通のことだ。
ちなみに余談だが、私は家の鍵をもらっていなかった。
基本家の鍵が空いているというのもあるが、万が一鍵がかかっていても裏口のドアにダッシュして体当たりすると、そこそこゆるゆるの鍵が開く仕様になっていたからだ。
さて彼女がドイツ語を教えている学校が夏休みになると、彼女は毎年恒例のお泊まり会を実施する。
学校でドイツ語をとっている女の子達を自分ちにお泊まり会させるのだ。
その数約15人。
クリス:あなたは自分の部屋いつも通り使ってよ
私:15人もどうやって泊まるの?
クリス:リビングと私の部屋に雑魚寝だよ
私:毎年そんな感じなの?
クリス:毎年そんな感じなの
動物的感で危機を察知した私は、その日から1泊を別の友人のところで過ごす予定をねじ込んだ。
次の日家に帰ってクリスティーナに問題なかったか尋ねた。
クリス:どうって事なかったよ、あっ昼から夜にかけて断水したんだよね〜
私:トイレは外で?
クリス:うん、あなたの外トイレは無事だよ〜
彼女達は家のおもての茂みでトイレをするハメになったらしい。
みんな逞しくて何よりだ。
さてアイルランドで人間関係を広げていた私は、北アイルランド出身の美容師さんと友人になり、彼女の帰省について行くことになった。
次回は北アイルランド旅を書こう。