シェフィールドはイギリスで5本の指に入る主要都市だ。
ただひたすら治安があまりよろしくない。
私がお世話になった夫婦の家はシェフィールドの中心地からバスで20分くらいのところだったのだが、周りの空き家がかなり目立っていた。
というのも、治安が悪いため空き家になると不良さんたちの溜まり場になったり放火のターゲットになったりするためベニヤ板で空家は封鎖されるので一目瞭然なのだ。
また公衆電話は九割ガラスが割られている。
直さないのか聞くと、直しても次の日には割られるので意味がないそうだ。
近所にあった公衆電話はガラスの割られていない珍しいやつだったのだが、これのおかげで後々助かることになる。
この度も私はバスで色々と動いてみたがかなり殺伐とした印象だ。
歩いていると不良くんたちに汚い言葉で絡まれたりもする。
工業都市なのもあって男性優位な印象の街だった。
といっても皆が絡みづらいわけでなく、気のいい人たちもたくさんいる。
これだってどこの街でも同じことだ。
私はこの間に少し足を伸ばして日帰りでダービシャーにも旅行へ行った。
ここにはどうしてもいきたかったのだ。
ダービシャーのベイクウィルという街
土産屋で買ったポストカード
ジェイン・オースティンというイギリスで熱狂的支持を集めた女性小説家がいる。
彼女の作品は何度も映像化されているのであるが、そのうちの一つに「Pride and Prejudice」という作品がある。
映画化もされていて日本語では「プライドと偏見」という邦題だ。
私はあまり映画もドラマも興味のない方だし、この映画も見たことはない。
ただイギリスやアイルランドにいるといく先々の家にBBCが制作した「Pride and Prejudice」のDVDがあった。
Morecambeのホームステイ先にもあったので、英語と文化の勉強と思って観たのだがあまりの出来の凄さにまいってしまった。
結局わたしもこのDVDを買って何度も見る羽目になってしまった・・・恐るべしBBC。
多くの家にあったのがこのバージョン
「ブリジット・ジョーンズの日記」 の下地となった話でもある
余談だが、この数年後に放送されたこれまたBBC制作のエリザベス1世の生涯を描いたドラマ「The Viegin Queen」も鳥肌ものだった。
BBC作品はキャストを1本のドラマのために役者を公募するらしい
作品イメージにぴったり感が素晴らしい
話を戻すが、「Pride and Prejudice」の舞台の一つがダービシャーだ。
MapではDerby(ダービー)と表記されているが、イギリスではダービシャーと言われる方が多いようだ。
画面で見たあのダービシャーが本当に存在するのかこの目で一度確認せねばと思ったのだ。
舞台の一つとなったチャッツワース・ハウスは訪れた時は中に入れない期間だったが、パーク全体の景色は完璧に整えられた美しいところだった。
チャッツワース・パーク
奥にあるのがチャッツワース・ハウス・・・と思う
自然と景観と歴史と文化を財産として保ち且つ収入資源にするイギリスの手腕は本当にすごいと思う。
この点で日本はまだまだ学べることがあると思う。
さてダービシャーから電車でシェフィールドの駅に到着した時にはすでに暗くなっていた。
治安が悪いところなのでこの時間のバスはやめておこうと思いタクシーに乗った。
私:この住所までよろしくね
タクシー:わかった
走り出してすぐの赤信号。
運転手のおじさんが窓を開けて、隣に止まっているタクシーのおじちゃんを大声で呼ぶ。
タクシー:お前さんは〇〇って住所知ってるか
相手:あの〇〇ってとこじゃねぇかな
タクシー:あぁあぁわかった
海外のタクシーではよくあることだったりする。
とりあえずその方面へ向かう。
途中でスピードが落ちておじさんがキョロキョロし出す。
これは私も真剣に探さないとやばいやつかなと思い、目を凝らして何か目印はないか探す。
ありました、例の壊れていない公衆電話ボックス。
私:とめてぇぇ
とマイクをオンにして叫ぶ。
イギリスのタクシーも運転手にとっては危険なので、前後は仕切られており会話はマイクを通しておこなう。
私:お金置いてくから。釣りはいらないし
と言ってダッシュしようとしたら
タクシー:待ってよ、お金足りないから〜
道をしらないとはいえ、まぁ悪い人でなかったようでよかった。
電話ボックスからホームステイ先までは100mほど。
猛ダッシュで家まで駆け込んだ。
旅も次回が最終地、ロンドンだ。