Kerry空港から南下していくとKillarneyという可愛らしい街がある。
そこから歩いて20分ほどのところにゲストハウスがある。
もちろんどんなゲストハウスなのかの前情報はゼロだ。
知っているのは1ヶ月が大体8万円だということだけだ。
結構高いのだが、行ってから色々考えればいいやと思っていたのでどんな家なのか気にもしていなかった。
連れて行ってもらうと可愛らしい平家が10棟ほど小道に沿って並んでいた。
手前の管理棟で手続きをする。
最短で6ヶ月契約からだった。
それ以前に契約解除するにはプラス2万円。
断る術もないし、どうにでもなればいいやととりあえず契約。
鍵をもらって一つの棟へ。
・・・でかい、でかいのだよ。
絵心のない私が描いた雑な部屋の見取り図はこんな感じ。
ちなみに一通りの家電と食器は揃っていたが掃除機がなかった。
もちろんネットだってあるわけじゃなし。
テレビもアイルランド国営の2チャンネルしか入らない。
救いは美しい国立公園のすぐそばであることと、歩いて10分くらいのところに大きなスーパーがあること。
キラーニーの街まで行くのも歩いて行けなくはないのでそれも救いだった。
さて電話もないから家族に無事も伝えられないが・・・まぁしょうがない。
次の日から必要なものを買いに行ってなんとか料理してみる。
時間ができたらとにかくそこら中歩き回って地理を把握する。
よくわからないコロコロで掃除らしきことをする。
あとはすることがない。
ネットもなく、友達もなく、仕事もなく、移動手段もなく、テレビのチャンネル数まであんな感じで・・・想像できるだろう。
本当に暇なのだ。
体からカビが生えそうなくらい暇なのだ。
英語の勉強くらいしかすることがないが、そういう時に勉強できるほど優秀でもない。
アイルランドで買った絵葉書
この光景は日常的に見ることができた
そんな感じで数日経ってカビが生えかけていた頃、一人の女性が訪ねてきた。
空港まで迎えにきてくれたオランダ人の友人だった。
身長は180cm以上はあるだろう、大柄なドイツ人女性。
目の大きさは私の3倍くらいあるんでなかろうか。
「ASMRがあれば絶対瞬きの音するだろうな」くらいの立派なまつげもついている。
「ハッロー!! 私クリスティーナよ」
とりあえず中に入ってもらった。
クリス:「あのね、お願いがあるの」
私:「なんでしょう」
クリス:「うちね、テレビがないの。で、今アイルランドがサッカーしてるの。見てもいい?」
私:「うちのテレビ2チャンネルしかないけど見れるかな・・・」
クリス:「アルランドチームが出てるやつはアイルランド人みんな見てるから国営で流すに決まってるよ」
とテレビをつけたら緑のユニフォームが走っていた。
彼女は2時間ほどエキサイティングしてから
「2日後また試合あるから見にきていい?」
と言われたので「いいですよ」と受け合った。
2日後、約束通り彼女はやってきた。
そして持ってきた紙袋をゴソゴソしている。
クリス:「これ前に日本人からもらったんだけどどうすればいいのかわからないの」
私:「浴衣か・・・私も知らないな」
クリス:「ま、とりあえず一緒に着て写真撮ろ」
適当に羽織って写真を撮った。
私は身長164cmなのだが、帯である程度長さを調節しないと浴衣を引きずってしまう・・・実際そうやって着るものだしね。
クリスティーナはというと、ロングブラウスみたいに着こなしている。
羽織っただけで足首丈。
そのまま再びサッカー観戦で大興奮していた。
そして帰り際に提案されたことが私のアイルランド人生を一気にジェットコースターにしてくれた。
それについてはまた次回。